2017年12月27日(水)手首の痛み②TFCC損傷
前回TFCC損傷(三角繊維軟骨複合体損傷)の原因の1つとして
「尺骨突き上げ症候群」がある、というお話をしました
今回はこの「尺骨突き上げ症候群」についてお伝えしていきます
通常、人間の腕は肩から肘までが1本の骨で
肘から手首までは2本の細い骨で構成されている
● 親指側 橈骨
● 小指側 尺骨
通常上記の2本の骨はほとんど同じ高さなのですが
< 小指側の尺骨が橈骨に対して長い場合 >
↓
手首を背屈・手首側に尺屈を矯正すると尺骨下端が手根骨の1つである月状骨と衝突し三角繊維軟骨が損傷する
< 転倒などで手を衝いて橈骨骨折を起こした場合 >
↓
元々は同じ高さであったが橈骨が短縮転位してしまい結果的に尺骨が長くなってしまうケースもある
その為TFCC損傷の痛みは、尺骨突き上げ症候群が原因で起こるものも多いと言われている
もちろん2本の骨が同じ高さの人でもTFCC損傷を引き起こす事もあるので
一概にTFCC損傷の原因が全て尺骨突き上げ症候群とは言い切れない
では実際に手首の痛みが出た場合、TFCCかどうか確認する検査があります
<検査法>
● 徒手検査
① 患者は肘関節90℃屈曲位・手関節中間位で手をグーにする
② 術者は片方の手で患者の前腕を保持
③ 術者は残りの手で患者の拳を保持し、尺屈強制しながら患者に腕を回内・回外してもらう
④ この時手関節尺骨部に疼痛とクリックの誘発があった場合TFCCの疑いがある
※ 月状三角靱帯損傷などでも陽性となる為、注意する
※ 三角骨と尺骨の関節にある関節円板の中央は薄く、あらゆる方向の外力を受けて破綻しやすい
※ 外力により円板損傷をきたす事が多い為、あえて円板に圧迫・回旋ストレスをかけて痛みが出るか確認するテストである
● X線・MRI検査
整形外科にてX線・MRI検査をします
それでも分かりにくい場合には、造影剤を使った検査を行います
検査機械があるかどうか、前もってご来院前にご確認下さい
<治療法>
① 基本的には安静が第一
なるべく手を使わない様にして様子を見る
② 痛みがひかない場合は、専用の固定具・テーピングなどを用いて固定する
今はネット等でも沢山種類が販売されておりますので
固定力のしっかりした手首サポーターを選ぶ事をおススメします
手は何かと動かしてしまいがちですので、痛みが強い間は1日つけておいた方が良いです
テーピングが可能な場合は、以下の角度を参考にして下さい
(固定肢位)
肘関節90℃
前腕中間位
手関節軽度背屈位
(固定範囲)
上腕遠位部~MP関節手前まで
(固定期間)
6~12週
しばらく固定をしてをしても痛みがひかない場合には
注射・もしくは手術を検討していきます
尺骨突き上げ症候群が原因の場合は、尺骨の骨を切り長さを短くする手術もあります
TFCCが原因で引退を考えるプロスポーツ選手も多いほど、実は手首は重要なのです
手首に痛みがある場合は、まず原因が何なのか追及し
状態にあった正しい治療を行っていく事が必要です